JWTC トップページ > トラス構造とネイルプレート

建築物の信頼を高める - トラス構造


■構造の安定性を図る三角形の構造
図1
三角形の構造は曲げる応力などの力を軸力のみに単純化して変形に抵抗します。

建築物の、屋根、柱、床といった構造部には、圧縮、引っ張り、曲げ、せん断など、さまざまな力が働きます。それらの力を構造部材が正しく受けとめることができないと、建築物の構造は安定しません。
トラスは、三角形を単位として組まれた部材の構造形式をいい、構造部にかかる力を圧縮力と引張力という軸力のみに単純化して負担します。このため、軽量でかつ変形に強い構造体が実現できます。

■身近なところにさまざまな三角形

■東京ゲートブリッジ
図2

■東京スカイツリー
図2

三角形を組み合わせた骨組みは様々なところに活用されています。
橋梁やタワーなどの大型構造物はもちろんのこと、耐震改修などでは筋かいを入れることで構造強度を強める手法が採用されています。

□東京ゲートブリッジ
東京ゲートブリッジの特徴的なフォルムは、羽田空港に近接しているため航空機の飛行に支障のない高さ(98.1m)に抑え、一方で船舶の航路を跨ぐために桁下高(54.6m)を確保する必要があるため、トラス構造を採用して安全性と耐久性を確保しています。
 ・全長:2,618m 
 ・構造高:87.8m 
 ・桁下高:54.6m 
 ・橋脚間航路幅:310m(東京港第三航路) 
 ・開通:平成24年2月12日

□東京スカイツリー
テレビのデジタル放送の普及とワンセグなどのデジタル放送特有の機能の有効活用を図るため、600mをこえる電波塔の必要性が指摘され、軽量かつ堅牢な構造を実現する三角形の基礎構造で建設されました。
 ・高さ:634m
 ・足下の一辺の長さ:68m
 ・重さ:約41,000トン
 ・東京スカイツリー展望デッキ:350m
 ・東京スカイツリー展望回廊:450m
 ・開業日:平成24年5月22日

□トラスの普及のきっかけとなった接合金物「メタルプレートコネクター」
図4

□メタルプレートコネクターにより堅結
図5

■木造トラスを可能にしたメタルプレートコネクター

三角形の形状を建築の中に取り入れる工夫は、古くから木造住宅などでも筋かいとして採用されていますが、トラスが住宅部材として使用され始めたのは、1950年代にアメリカで接合金物「メタルプレートコネクター」が開発され、1970年代に日本でも使用できるようになった40年ぐらい前からです。
今日では、製材品の細かな強度区分やメタルプレートの研究が進んで、より高度な構造検討に基づいたトラス製造が行われています。

■ネイルプレートトラスとは

木材の接合部をメタルプレートコネクターで圧着して製造した屋根トラスや床トラスを「ネイルプレートトラス」と総称しています。
メタルプレートコネクターの研究開発も進み、コンピュータ技術の発展ともあわせて、現在ではどんな形状の小屋組や構造部材としての使用箇所にも対応した、信頼性の高いネイルプレートトラスが供給されています。


next